ロンボク島旅行記

2003年11月09日 アンとの出逢い
 ハンモックが垂れ下がるコテージのバルコニー。籐のテーブルと椅子の座り心地があまりにも快適だ ったので、つい腹の具合も考えずにビールを頼んでしまった。コックのアンが、唯一のゲストである私を もてなす。自分一人では悪いので、アンにもビールを勧めるが、
 「ラマダンの最中なので」
と、固く断られる。
 「それでは遠慮なく」
と、私は彼の前でビールをゴクゴク、タバコをプカプカ。後日、最後の晩餐会の場で、アンがこの時の 模様をこう語った。
 「あの時は本当に辛かった!」
 アンは27才。妻子持ち。妻子は彼の両親と共に、マタラム近郊に住んでいる。奥さんは16才の時に 彼と結婚したと言うのだから驚いた。
 「若くから結婚して、子宝に恵まれることは、富を得ることとして、世の常識だったのに、最近ではそ の子供が出費の原因なんだ」
と、アンは首を傾げて言う。義務教育は無料でも、ユニフォームや本・ノート代がかさむのは、日本の 教育費と一緒なのかな。彼の夢はブルネイでコックとして働くこと。
 「国外でなくても、バリの観光地で良いではないか?」
と、私が質問すると、
 「バリはヒンズー教徒の島、自分には豚肉は料理できない。ブルネイはイスラムの国だから」
と、答えた。ブルネイに渡るのに、資本金がRp.3,000,000(39,000円)要るという。
 「日本でなら、これだけの資金をどのくらいの期間で貯められるのか?」
と、聞かれたので、
 「残業して2,3日も働けば・・・」
と答えたら、彼はイスから転げ落ちた。 



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