ロンボク島旅行記

2003年11月13日 エピローグ・トーキョー
  深夜便のシンガポール−成田間のシンガポール・エアーは午前6時の成田到着。今回ばかりは検閲所の医 師に、下痢の件を申告した。
 「今現在、下痢が止んでいるのなら特に問題はありません」
と、当直の医師は眠そうに答える。
 京成電車に乗って東京方面に向かう。いつもながら、帰国後目にする東京の巨大さには圧倒される。ビルの 群、人の群、電車・バス・車の群。少なくとも私がこれまでに訪問した国々において、これほどの巨大都市は存 在しない。
 (今回ギリ・アイルの島で親しくなったコックのアンや、タンジュン・アンで私を迎えた4人の物売りの子供たち が、このトーキョーを見たら、さぞかし驚くだろうな)
 京成電車を地下鉄に乗り換える。朝のラッシュは過ぎた時間帯にもかかわらず、座る席など空いていない。ド ア越しにもたれて立っていたら、シンガポールのMRTを思い出した。もう既に10日前の古い思い出になってしま った。シンガポールは2度目であっても、異国の地下鉄に乗るのは恐ろしいもの。地下鉄のMAPだけが頼りで あるから、目的地は駅前の風景を想像して決めた。予定通りに乗り継いで、着いた駅の地上には想像を覆す 風景が広がっていた。
 地下鉄ばかりではなく、私の旅は未知の風景の想像が前提にある。予想した風景と実際の風景とが一致し たことなどは当然あるわけもなく、そのギャップが刺激となる。そんな点で、今回の旅では多くの刺激を受けるこ とができた。
 品川から地上に出た地下鉄。このまま京急線に乗り入れる。電車は猛スピードで京浜工業地帯を走り抜け る。チラッ、チラッと時計を覗いてしまう自分に驚いた。目まぐるしく動く大都会での生活に、既に戻ってしまって いたのだ。(完) 



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