ロンボク島旅行記

2003年11月05日 インドネシアで一番美しいビーチ・タンジュンアン
 次の目的地はタンジュン・アン。私が今日のロンボク・ツアーで、この地をメインに位置付けていた くらい、時間を余計にとって過ごしたい場所。当初は経費をケチって、レンタル・バイクで独りで来る ことも考えていたが、今考えれば、ツアーにしておいてよかった。その理由は距離。ホテルのあるス ンギギから車で約2時間。道も複雑で、とても独りでは来れなかった。
 このビーチで私を出迎えたのが、4人の物売りの子供たち。丁度キーホルダーが欲しかったの で、まず1人の子供から言い値のRp.20,000(260円)で買う。すると、
 「オレのも、オレのも」
と、結局4つも買ってしまった。これに大人の物売りも加わり、完全に物売りたちに囲まれてしまっ た。しかし大人は完全に無視した。
 この子供たち。生意気な奴らで、達者な英語が話せる。物売りの仕事のことを「マイ・ビジネス」と 言っていた。私以外の唯一の観光客が遠くにいたので、
 「あっちで仕事してこい」
と命じたら、
 「彼はクタ(隣町)のホテルに泊まっているバッパーだから、商売にならない」
と言う。本当かどうかは知らないが、私が今日初めての客だという。
 「ココナツ・ジュースを飲まないか」
と、子供たちにセールスされた。Rp.20,000(260円)だというので、高いから半額に値切って交渉成 立。するとリーダー格の子供から、手下がRp.1,000(13円)札を受け取って、走り去った。
 ココナツが届くまで、しばしの間写真を撮りまくった。白い砂浜とエメラルド色の海、そして青い空 のコントラスト。今ここに居るのは物売りたちともう1人の西洋人観光客だけ。こんな大自然を独り 占めするのは究極の贅沢かもしれない。観光地化がまだ進んでいないので、ビーチにはゴミひとつ ない美しさが保たれていた。私がこれまで目にしてきた世界のビーチの中でも、ここタンジュン・アン の美しさは上位に位置することだろう。
 手下2人がやしの実を抱えて帰ってきた。リーダーが早速それをナイフでカットする。生まれて初 めて体験するココナツの一気飲み。かなり重たくて、口元に持っていくのに苦労する。冷えてはいな いが、甘くて、渋くて、生臭くて、それでも天然率100%。中身は1L以上あるのだろうか、半分くらい は飲み残してしまった。私は約束の代金Rp.10,000を支払おうとして、Rp.20,000札を差し出しながら 言った。
 「お釣りはあるの?」
 「あなたが今日初めての客だから、あるわけないよ」
 「Your joke is very nice」
人けのないビーチに私の笑い声がいつまでも響き渡った。



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