ロンボク島旅行記
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もの凄い腹痛を伴った下痢が始まった。額からは脂汗がタラリ、タラーリと。こんな経験は生まれて初めてで
ある。食中毒だろうか。それともコレラ、赤痢。考えれば考えるほど恐ろしくなる。変なことばかり考えるようにな
って、それがまた不安を増大させる。
(とりあえず日本大使館に連絡しようか)
(電話なんか、無い)
(隣の西洋人カップルに助けを求めようか)
(この島には看護婦のみで、医者なんか居ない)
(医者が居るのはマタラム)
(マタラムじゃ手術はできない)
(手術ができる病院があるのはバリかジャカルタ)
(より高度な医療はオーストラリアかシンガポールまで行かないと)
深夜、日付は変わった。相変わらず水便の下痢が続く。備え付けのトイレット・ペーパーを使い果たしてから
が大変だった。水桶を使って、水を垂らしながら、手でお尻を洗う羽目に。インドネシアでは非常時以外でも、こ
のスタイルが当たり前なのだが、私には左手を使ってこの作業をすることが困難だった。利き腕ではない左手
では不器用この上ないからだ。効率よく、かつ正確さを求めれば、自然と右手を使っていた。インドネシアでは
不浄とされるのは左手であるが、私は右手を不浄にしてしまった。
幸運にも水のような便だったから、このお尻の洗い方も比較的容易だった。固かったら、と思うとゾッとする。
基本的にインドネシアの公共のトイレで紙は流せない。約10日間の滞在で、このような目に遭わなかったのは
ラッキーだったと思う。
1時間おきにやってくる腹痛と下痢。眠りにつけたのは未明のことだった。
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