ロンボク島旅行記

2003年11月11日 最後のギリ
  朝、7時。恥ずかしながら、アンに起こされた。そういえば昨夜、逆算して今日の起床時間を打ち合わせした のだった。舟が8時半の出航だから、チェック・アウトは8時、朝食が7時といった具合に。極度の二日酔いであ る。昨夜はウィスキーもアラックもモノの見事に空になった。その上にコテージのビールも飲料水も底をついた のだった。二日酔いも、発熱を伴う下痢に比べればまだマシというもの。
 レストランに行くと、チドモが早くも私を迎えに来ていた。2日前に、私をここまで運んでくれた長老のチドマー だった。
 「まだ1時間も早いよ」
と、アンに通訳して言ってもらった。
 アンに世話になったお礼として、少しばかりの志を手渡す。チドモに乗った私を、見えなくなるまで手を振って 見送ってくれた。
 桟橋のホテルのレストランで出航の時間までお茶を飲むことにした。ウェイトレスが訳の分からない事を言っ てきた。私をインドネシア人と間違えているらしい。日焼けは一層濃くなり、更にこの日はクタで買った民族柄の シャツを着ていたから、現地の人と間違えても当然だろう。相手はすぐに気付いて、英語で謝ってきたが、
 「構わないよ、インドネシアの人が好きだから。インドネシア人に間違えられるのも結構なこと」
と、正直に答えた。
 この時に及んで、
 「集合場所が違う!」
と、叫びながら、プラマ社の係が吹っ飛んで来た。その係は、
 「だから昨日、注意しろと言っただろう」
と、私に怒っていたが、昨日のリコンファーム(予約の再確認のこと)の時、相手の英語の発音がひどかったの を思い出した。
 なんとか乗船に間に合った。メノからの乗客が先に下船する。そんな風景の中で、ふと目に止まった2人の東 洋系女性たち。すれ違いざまに聞こえた彼女らの会話。
 「ヤバかったねえ」
 「ホント、マジ、ヤバかったよー」
邦人だった。この旅で初めて見かけた日本人。
 (私の分まで、ギリ・アイルをとことん楽しんでくれ!)
そう心でつぶやいた。 



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